今日はホワイトのMR30クランクのお話。
新型が出てすでに結構経ちますが、クランクの選び方や互換性がわからないと思う人の参考になれば。
WHITE INDUSTRIESのクランク、やっぱりすごくいい。
僕が使っているクランクは10年以上前のクランクアームで、WHITE INDUSTRIESの「ENO(エノー)」のクランク。
昔、まだ自転車屋さんになる前に憧れて買ったもののピストバイクやシングルスピードにはあまり向いていなくて、ちょっと使ってお蔵入りしていたもの。
それが今でも現行で発売されていて、端数や構成も選べて、なんだったら色も選べるってんだからさすがです。
もちろん、新型も出ていて、今買うなら確実に新型だけど、「旧い」ってことが格好良くなる条件がWhite industriesのクランクには揃ってる。
ある意味スクエアの旧規格は長ささえ合わせれば無理やり使えたので、今の方が便利だしフィットしやすいながらも、構成のパターンが多くなったのでちょっとだけわかりにくくなった。
WHITE INDUSTRIESって?

White Industries(ホワイトインダストリーズ)は、1978年にその歴史をスタートしています。
めちゃくちゃ昔からありますね。
設立そのものはカリフォルニア州インバネスで設立された自転車部品ブランド。
創業者はダグ・ホワイトって人、だからホワイトのインダストリーズ。
超高精度で、間違いのないパーツ、というイメージしかないけど、自宅の空き部屋から事業をスタートした、っていうamazonみたいなはじまりでもうかっこいい。
現在はカリフォルニア州ペタルーマが本拠地。
昔は、ホワイトのクランクは日本で作られていて、あのSUGINOが製造を行っていました。
その頃からプロダクトの原型そのものは変わっていなくて、今でもSUGINO製ホワイトはパーツとしての価値があります。
今、オールUSA、オールペタルーマで自社開発、製造をしていて、ほとんどの製作がCNCマシニング。
よくここまで大きくなったな、とものつくりをしている身としては痺れて憧れます。
White Industriesは日本では「ホワイト」と呼ばれていて、知らない人が聞くと(さっきからこの人たち白の話してるな。。)と思うレベルで「ホワイト」が飛び交います。
この記事ではそれに倣い、以下「ホワイト」で統一しています。
ポリッシュクランクなのにホワイト。カラーアルマイトなのにホワイトなのです。
WHITE INDUSTRIESのクランクの種類。
ホワイトのクランクは今出ているものは3種類。
シャフトやBBの大型化、外装化によって変化した規格に合わせて発売されたクランクと、スクエアテーパー時代のクランクが2種類です。
MARGクランク(MR30)、VBCクランク、ENOクランクと呼ばれており、これから先は全てMR30規格に統一されると思います。
まずはMR30ってなんだ?ってところですよね。
MR30規格ってなんだ?
ホワイトの出している30mmのスピンドルシャフトに対応する規格で、おそらく「Mountain」+「Road」を一つにまとめた「30mm」の規格、で「MR30」なんだと思う。
過去に長く君臨していたスクエアテーパーBBは、軸を取り付けて、クランクをそこに取り付けて、軸が回る3ピース構造。(左クランク+BB+右クランク)

このMR30規格ではBBは空洞で外部にベアリングを出し強度を高めています。
SHIMANOのクランクなどに代表される右クランク+左クランクを直結させて以前よりも圧倒的に高剛性で一体感もある2ピース構造を、さらに分解可能にした構造になっています。
(左クランク(BBシェル)+スピンドルシャフト+(BBシェル)右クランク)

スクエアテーパーは軸に長さがあり、フレーム、BB、クランクで長さが左右され正直わかりやすくはないです。
安価なのが魅力だったんですが最近はこの形式が一般的です、(エクスターナルやアウトボードと呼ばれています。)
スクエアテーパーはクランクに軸を圧入するので、クランクに不可逆なダメージが入り、いつかは使えなくなります。
その点、スピンドルを別体化し交換可能にしたホワイトの現行クランクの形は理にかなっていて、長く使える構造になっていますね。
これ、BBの話になっとるがな!
MR30は、そのBBを通るシャフトが30mmのものだということです。
SHIMANOは24mm、SRAMのDUBは29mmなので、極太で剛性重視であることがわかりますね。
シャフトが大きい=BBのベアリングサイズも大きいので、回転数的に長持ちもする、ということも副次的にあります。
これ、BBの話になっとるがな!!
MARGクランク
MARG、というのは、Mountain、Adventure、Road、Gravelの頭文字。
基本の形は同じで、インストールされた時の位置が変わったり、曲げが変わってQファクター値が変わったり、スピンドルが長かったりと色々ありますが、基本は同じプラットフォームを共用していて、チェーンリングも多彩に選ぶことができます。
もともとMR規格、やMRクランク、と呼ばれていたけど、昨今の世界的なグラベルブームやアドベンチャーへの夢を追うサイクリストの熱い要望やバイクの変化に対応し発売されています。
日本ではAdventure、Aクランクはまだあんまりないんじゃないかな。
楽天でも検索してみたけど、MRクランクはやっぱりMRGが基本ですね。
アドベンチャーバイクというカテゴリが日本ではかなり曖昧な定義だし、日本でアドベンチャーするにはかなり自由人でないといけないのであんまりハマってないのかもしれない。
ちなみにAクランクはかなり使用用途が限定されていて、Sベンドステーなどが前提となっている攻めたフレームにのみ使用可能。
なので市販のフレームに合わせるにはギャンブルが過ぎると思います。
M、A、R、Gクランクの違いについて。
では、そのクランクの違いはなんなんだ?ととてもややこしく見えますが、ホワイトは大前提として「長く使えるクランク」を標榜していますし、僕もその通りだと思います。
基本を押さえればとても簡単ですし、自分のバイクに合うクランクがわかればOKなので、参考にしていただければ。
MRクランクの組み合わせの基本。
2つのクランクアーム、2つのスピンドルから成り立っていて、その組み合わせが4通りあるだけです。
なので、ひとつのクランクで2つの規格、ひとつのスピンドルで2つの規格に対応しているので、正反対に位置するセットアップでなければ対応が可能というわけです。
具体的な組み合わせの種類は
・Mクランク(マウンテン)
・Rクランク(ロード)
×
・Mスピンドル(マウンテン)
・Rスピンドル(ロード)
の掛け合わせで4通り作るだけなので、簡単です。
しかもそれぞれに同じチェーンリングが使えて交換も簡単!
なお、全てBBは同じでMR30BBを使用します。
BSA(ネジ切りタイプ)やPF(圧入して使うプレスフィット)など取り付け方式に違いがあるだけでこれはフレームに依存します。
何が違うのか?
ではMやRは何が違うんだ?というと、アームの曲げやスピンドルの長さが違います。
例えば、細めのタイヤで、クランクもまっすぐ入れて効率を求めるロードバイクなどだと

こんな感じで、チェーンステーのギリギリを通る方が効率がいい。
外に出す必要がないのに外に出てても使うことができるけど、かかる力的にちょっとロスがあるというわけです。
逆に、太いタイヤを入れるためにチェーンステーを拡げている場合はロードクランクだとそもそも回らないわけです。
昔はロードなのか、MTBなのか、くらいの考え方でOKだったんですが、その間のバイクがたくさん誕生し、やはり行き着くはホワイト、ということで同じもので多彩に展開できるこのシステムが生まれたわけであります。
MR30 クランクをロードバイクに使用する。
ロードバイクで使用するにはRクランクとRスピンドルの組み合わせ。
R×R=Road。
MR30 クランクをグラベルバイクに使用する。
グラベルバイクで使用するにはMクランクとRスピンドルの組み合わせ。
M×R=Gravel。
MR30 クランクをアドベンチャーバイクに使用する。
アドベンチャーバイクで使用するにはRクランクとMスピンドルの組み合わせ。
R×M=Adventure。
MR30 クランクをマウンテンバイクに使用する。
マウンテンバイクで使用するにはMクランクとMスピンドルの組み合わせ。
M×M=Mountain。
チェーンリングの違い。
MRクランクはそのバイクのスタイルに合わせてスピンドルを入れ替えたりすることで同じアームを長く使えることが魅力ですが、もうひとつ、ロードバイク向けのチェーンリングも、マウンテンバイク向けのチェーンリングも全て同じスプラインで互換性があるということです。
大きく分けて、VBC(ロード用)とTSR(マウンテン)があり、さらにそこから細分化されるのですが、チェーンリングはもっと簡単で、このMRシリーズは全て使用可能です。
昔は、前述のENOクランク用のスプラインがあって、それはスクエアのVBCとは同じで、、などあれ?って少し迷う部分もあったんですが、今はとてもわかりやすいです。
これはまた改めてご説明していきますね。
ホワイトのクランクを使う理由。
ここまで、互換性のお話などをしてきましたが、ホワイトのクランクを使う最大のメリットは
旧くならない
ことです。
もちろん、これから先もいろんな大手メーカーが売るために色々新型を出していくでしょう。
それに則り、ホワイトも必ず合わせてきます。
ここで、新型が出て「自分のものが陳腐化するか?」と言う点が長くモノを使うにあたり大切なところだと思います。
全部買うと10万円くらいするセットです。
性能や、強度などは大前提として担保されており、ベアリングなど以外はシンプルに一生モノです。
その時に、昔のモデルだからダサいとか、新しいのが羨ましく見える。
そんなものにお金を出す価値は個人的にないと思っています。
もちろん、必要な人や新型をずっと使っていける人はそれが良いに決まっているけど、このページを見ているひとは、長く浸かる良いパーツを探しているはずです。
実際、昔のものだからちょっと違って見えるパーツは存在していて、30年くらい経って逆にかっこいい!ってなるまでなかなか辛いかもしれない。
なんというか、ちょっと前にバズった曲を今発見した!って言うみたいな感覚かな。
消費していくならそれも楽しいけど、自転車はさっと消費、次、みたいなもんじゃない。
アルミ削り出しのピッカピカなボディがたまらなく良いけど、使い込んで、傷だらけになってもかっこいい。
たまに磨くとすぐに復活してまたうっとりできる。
ホワイトのクランクを使う理由はここが一番。
入れるにはちょっと気合いのいるクランクだけど、一度入れれば大満足がずっと続くし、他のクランクに惑わされることがなくなって結果的にお得な自転車ライフが送れると思います!
